「対」・「門」を主題とし、駒場キャンパス矢内原公園にて駒場祭内で行った招待制の公開パ
フォーマンスです。
駒場キャンパスの東端に位置し、その面積に反して在学生でさえその名を知らないことが珍し
くはないこの矢内原公園には、かつて、その名の由来である矢内原忠雄によって生まれた非公
式の入口「矢内原門」がありました。
しかし、同公園はキャンパス史において常に周縁化されており、公的資料ではその詳細を確認
することができず、オーラルヒストリーや学生の非公式なアーカイヴのみがその姿を伝えてい
ます。この公園の目前にはかつて駒場寮があり、内部には、駒場農学校時代に設立された公衆
トイレがありました。そして、明確な証拠は残されていないものの、当時の地図や地理上の特
性から推測するにおそらくは井戸があったのです。その口伝の様、またトイレや井戸のモチー
フ、そして埋蔵文化財発掘場として今なお多くのものが出土している駒場キャンパスの場所性
を踏まえ、亡霊の形象を軸に組み立てました。祭りの持つ異質な時間性の内部に起こる境界と
しての「門」、Figureとしての人間を前提する「対」を起点に1人1人へ異なる内容の招待状
を送り、多くの方にご参加いただいた結果、実現いたしました。
<クレジット>
作・演出 有吉玲
出演 有吉玲, 廣田 大騎, Gu Yue
演出および制作補佐 山本風路 高宮明里